横浜地方裁判所 昭和51年(わ)2147号 判決 1977年1月11日
主文
1 被告人両名を各懲役一年六月に処する。
2 被告人川西に対し未決勾留日数中六〇日をその刑に算入する。
3 被告人濱中に対しこの裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予する。
4 被告人濱中から押収してある二五口径けん銃一丁(昭和五一年押第四九八号の一)、実包五〇発(同号の二)を没収する。
理由
(認定事実)
第一 被告人川西は、法定の除外事由がないのに、昭和五一年四月五日午後二時ころ、大阪市港区市岡二丁目一番三一号所在喫茶店「エデン」二階の岡田末宏方居室において、二五口径自動式けん銃一丁およびけん銃用実包五〇発(主文4の物件)を所持した
第二 被告人濱中は、法定の除外事由がないのに、前同日午後二時ころ、前記喫茶店「エデン」二階岡田末宏方事務所の通路において、前記二五口径自動式けん銃一丁およびけん銃用実包五〇発(主文4の物件)を所持した
ものである。
(証拠)(省略)
(法令の適用)
罰条
けん銃を所持した所為 銃砲刀剣類所持等取締法三条一項、三一条の二第一号
実包を所持した所為 火薬類取締法二一条、五九条二号
科刑上の一罪の処理 刑法五四条一項前段、一〇条(一罪として重いけん銃を所持した罪の刑で処断)
刑種の選択 懲役刑
未決勾留日数の算入 同法二一条(被告人川西につき)
刑の執行猶予 同法二五条一項(被告人濱中につき)
没収 同法一九条一項一号、二項(被告人濱中につき)
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は、被告人川西の所為は銃砲刀剣類所持等取締法等にいう「所持」には該当せず、所持の幇助が問題となるに過ぎない旨主張するが、前掲各証拠により認められる本件けん銃等の売買にいたる経緯、売買に際して終始買主としてとつた行動等に照らせば、同被告人が現実にけん銃等を握持した時間が数分間であつて、かつ売買の場所に相被告人濱中が同席していた場合でも、被告人川西に独立の「所持」の罪が成立することは明らかであり、弁護人の右主張は採用できない。